法人化の税効果も、内部留保も、社会保険料も、すべては役員報酬の設定額から逆算して決まります。「とりあえず高めに」でも「とりあえず低めに」でも失敗する、報酬設計の考え方を解説します。
役員報酬を損金にするには、原則として事業年度を通じて毎月同額(定期同額給与)である必要があり、改定できるのは原則期首から3ヶ月以内です。「儲かった月は多めに取る」という個人事業の感覚は通用しません。賞与を出す場合も事前確定届出給与として税務署への事前届出が必要です。
期中に患者数が落ち込んでも、報酬は原則下げられません(業績悪化など一定の場合を除く)。したがって報酬は保守的な利益見込みから逆算して設定し、余剰は法人に残すのが定石です。
個人の累進税率と社会保険料の負担が重くなり、法人化した意味が薄れます。法人に利益が残らず、設備投資・分院・退職金の原資も育ちません。
法人に利益が偏って法人税負担が増えるうえ、医療法人は剰余金の配当が禁止されているため、法人に貯まったお金を院長個人に移す手段が限られます(詳しくは判断要素05へ)。生活費が不足して法人からの借入れが常態化すると、役員貸付金という別の問題も生みます。
配偶者など家族を理事にして報酬を支払う所得分散は有効ですが、勤務実態・職務内容に見合った金額であることが大前提です。実態のない報酬は税務調査で否認されるリスクがあります。
役員退職金の適正額は、最終報酬月額×在任年数×功績倍率で検討されるのが実務の通例です。つまり将来の退職金は今日の報酬設計から逆算されているのです。
このテーマは医療法人化を判断する7つの要素のひとつです。先生の実際の数字に当てはめたシミュレーションは、医業経営支援30年超の湯沢会計事務所が無料でお手伝いします。
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