医療法人化の7つの判断要素 > 判断要素05 内部留保と配当禁止
医療法人化の判断要素 05/07

内部留保と配当禁止 ──
法人のお金は院長のお金ではない

医療法人と株式会社の最大の違いは「非営利性」です。剰余金の配当は禁止され、解散時の残余財産も原則として個人には戻りません。この性質を理解しないままの法人化は、必ず後悔につながります。

大原則

配当禁止と残余財産の帰属

剰余金の配当はできない

医療法は、医療法人の剰余金の配当を禁止しています。株式会社のように「利益が出たから株主(オーナー)に配当する」ことはできず、院長が法人から受け取れるお金は原則として役員報酬と退職金に限られます。だからこそ、判断要素02の報酬設計が決定的に重要になるのです。

解散しても個人には戻らない

現在設立できる医療法人は「持分なし」であり、解散時の残余財産は国・地方公共団体等に帰属します。法人に貯めたお金は、最後に院長個人へ払い戻される財産ではありません。この一点を理解せずに法人化した先生ほど、後から「自分のお金なのに自由にならない」という不満を抱えます。

活かし方

内部留保は「使い道」とセットで貯める

配当できない以上、内部留保は目的を持った事業資金として設計します。具体的には、①医療機器の更新・移転・建替えの投資原資、②分院・在宅部門など事業展開の原資(判断要素07)、③院長・家族役員への退職金の原資、④借入金の繰上返済による財務体質の強化、です。

逆に、目的のない過大な内部留保は、法人税を払ってまで使い道のないお金を法人に閉じ込めることになりかねません。「個人で受け取って運用するお金」と「法人に残して事業に使うお金」の配分こそが、医療法人の財務戦略の中心です。

なお、院長個人やMS法人との取引(賃料、業務委託など)は、非営利性の観点からも税務の観点からも適正な対価であることが厳しく見られます。内部留保の迂回的な流出と疑われる取引設計は禁物です。

当事務所の視点当事務所では、退職金の目標額と将来投資の計画から逆算して「毎期いくら法人に残すか」を決める方式をとっています。内部留保は結果として貯まるものではなく、計画して貯めるものです。
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