法人化はゴールではなく、経営環境に合わせて見直してよい「手段」のひとつです。 社会保険料や税理士報酬の負担が重く感じられるようになった、 規模を落として無理なく診療を続けたい——そう感じ始めた先生に向けて、 医療法人から個人(自由診療所)に戻る「個人成り」の要点をまとめました。
「個人成り」とは、医療法人として運営してきた診療所を解散・休眠させ、理事長先生個人の事業(個人事業主)として診療を再開する手続きの総称です。 開業当初は法人化によって節税や社会的信用の面でメリットがあった先生でも、 規模の縮小、後継者の状況、社会保険料の増加などにより、 法人であることのメリットよりも維持コストの方が大きくなっているケースが年々増えています。
個人成りは「経営の失敗」ではなく、ご自身と診療所の状況にあわせて器(組織形態)を選び直す、経営判断のひとつです。 以下でメリット・デメリット、検討の目安、手続きの流れを整理しました。
個人成りは「法人の負担が軽くなる」一方で「法人だからこそ得られていた恩恵」も失います。両面を並べて確認してください。
次の4つのうち、あてはまるものが多いほど、個人成りによって手取りやキャッシュフローが改善する可能性があります。
診療収入や所得が開業当初より下がり、法人税率や給与所得控除による節税メリットが小さくなっている。税負担以外のコスト(税理士報酬・法定費用など)まで含めて考えると、個人事業の方が手取りが増える場合があります。
年間の社会保険診療収入が5,000万円以下であれば、個人事業として租税特別措置法26条の概算経費特例(社会保険診療報酬の一定割合を必要経費とみなす制度)を適用できます。実際の必要経費より概算経費の方が大きい場合、法人で運営するより個人事業に戻した方が税負担を抑えられることがあります。
法人では厚生年金・健康保険への加入が義務となり、理事長・スタッフの報酬が上がるほど法人負担(原則1/2)も重くなります。個人事業であれば、従業員数によっては社会保険の加入義務がなく、事業者側の負担を抑えられる場合があります。
個人事業として改めて開業し免税事業者の制度を利用すれば、一定期間、消費税の負担をなくすことができます。ただし、負担回避のみを目的とした法人成り・個人成りの繰り返しは租税回避行為とみなされる点に注意が必要です。
基本的には、保健所に医療法人として診療所の廃止届出を提出し、個人で診療所の開設届出を提出するだけです。 また医療法人については、私どもで承継者を探すお手伝いもいたします。 解散することも可能です。
役員報酬・所得の水準によって、法人経営と個人成り後のどちらが有利かは変わります。湯沢会計事務所では、先生の現状データをもとにした個人・法人の手取り比較シミュレーションから承っています。
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