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開業後の先生へ 最終更新:2026年6月

医院経営のポイント

クリニックの経営は、開業して患者さまが来れば自然に回るものではありません。診療日と診療時間の設計、患者数とレセプトの管理、収益の伸ばし方、そして人(スタッフ)のマネジメント──この4つを、数字を見ながら少しずつ整えていく営みです。このページでは、医業経営支援30年超の湯沢会計事務所が、押さえるべき経営のポイントを箇条書きで整理しました。把握した数字を「どう読むか」という経営分析の方法は、別ページで詳しく解説しています。

年間の診療日数
概ね 240〜280
週休・休診日の設計で変わる
人件費率(医業収益比)
目安 20〜30%
院長報酬を除く。診療科で差
賞与の相場(目安)
年2回 計2〜4ヶ月
業績・地域・規模で変動

このページの内容

分類No.項目ポイント
診療体制・
基本指標
1 診療日・診療時間・休診日の設計 来院しやすさと、院長・スタッフの持続可能性を両立する
2 経営の基本指標 診療日数・実日数・レセプト枚数の意味と見方
3 新規患者数の目安 立ち上がりの目安と、再診へつなげる仕組み
収益を
伸ばす
4 保険点数(算定)を上げる方法 施設基準の届出と、算定漏れの防止(適正算定)
5 自由診療収入への取組 保険外で診療単価と経営の安定性を上げる
6 効果的な広告方法 MEO・ホームページ・口コミ(医療広告ガイドライン遵守)
人材・
労務
7 優秀なスタッフの集め方 求める人物像の明確化と採用チャネルの併用
8 スタッフの定着率を高める方法 労働環境・評価・教育で離職を防ぐ
9 問題のあるスタッフに退職してもらう方法 記録→指導→退職勧奨→解雇の順序で(不当解雇・パワハラを回避)
10 給与の決め方・賞与の相場 相場と支払能力から設計(賞与は年2回 計2〜4ヶ月が目安)
11 退職金対策 中退共・小規模企業共済などで計画的・税効率的に

▶ 把握した数字の読み方は 「経営分析の方法」 をご覧ください。

1. 診療体制

診療日・診療時間・休診日の設計

診療体制は「患者さまの来やすさ」と「院長・スタッフの持続可能性」の両立で決めます。最初に決めた枠が経営の上限を作るため、開業時の設計が極めて重要です。

診療日 ── 地域の生活リズムに合わせる

  • 地域の通院動線に合わせる:住宅地なら平日午前+夕方、オフィス街なら昼休み・夜間が効きます。近隣の競合が休む曜日(木曜・日曜など)を診療日にすると差別化になります。
  • 土曜診療は集患力が高い:勤め人・子育て世帯を取り込めます。一方でスタッフの休日確保とトレードオフのため、隔週・午前のみ等の工夫を。
  • 診療日は「増やす」より「減らす」方が難しい:一度開けた曜日を閉じると患者離れにつながります。開業時はやや絞り、軌道に乗ってから広げるのが安全です。

診療時間 ── 受付終了と診療終了を分けて考える

  • 午前・午後の二部制が基本:例)9:00〜12:30 / 15:00〜18:30。昼の休憩は往診・書類・院内ミーティングにも使えます。
  • 夜間・早朝の延長は加算対象になり得る:「時間外対応加算」など、診療体制に応じた施設基準の届出で評価される項目があります(→4.)。
  • 受付終了時刻を診療終了の30分前に:残業の常態化を防ぎ、スタッフ定着(→8.)に直結します。

休診日 ── 院長とスタッフの「回復日」を確保する

  • 週1.5日休が標準的:「日曜+木曜午後+祝日」など。院長一人の診療所は、院長が倒れたら収入がゼロになるため、休養日の確保は最大のリスク管理です。
  • 休診日は近隣と「ずらす」:地域で休診が重ならないようにすると、地域医療への貢献と集患の両面で有利です。
  • 長期休暇(お盆・年末年始)は早めに告知:患者さまの薬の処方日数調整が必要になります。
2. 基本指標

経営の基本指標 ── 診療日数・実日数・レセプト枚数

クリニックの収入は、つきつめると「患者数 × 単価 × 日数」に分解できます。その材料になる基本の数字を押さえます。

指標意味目安・見方
診療日数その月にカレンダー上で診療した日数月20〜23日 / 年240〜280日(休診日設計による)
実日数レセプト上の「実際に診療行為を行った延べ日数」。同じ患者が月2回来れば実日数は2再診中心の内科系は1人あたり月1.3〜2.0回が目安
レセプト枚数その月に算定した診療報酬明細書の枚数。原則「患者1人・保険1種類につき月1枚」≒ その月のユニーク患者数。月間の延べ患者数とは別物
1日平均患者数延べ患者数 ÷ 診療日数損益分岐の最重要指標。開業初期は少なく、年々積み上げる
レセプト単価(点)医業収入(保険分) ÷ レセプト枚数診療科・処置・検査・加算の構成で大きく変動
  • 「レセプト枚数」と「延べ患者数」を混同しない:レセプト枚数は月単位の患者の頭数に近く、延べ患者数(=のべ来院回数)を実日数が表します。レセプト単価を見るときは枚数を、混雑度や日々の回転を見るときは延べ患者数・1日平均を使います。
  • 毎月「同じ定義」で記録する:指標は絶対値より推移が大事です。レセコン(レセプトコンピュータ)・電子カルテから毎月同じ項目を書き出し、折れ線で見る習慣をつけます。
  • 季節変動を頭に入れる:内科・小児科・耳鼻科は冬に山、夏に谷。前月比だけでなく前年同月比で評価します。
3. 新規患者

新規患者数の目安

新規患者は「未来の再診患者」の源泉です。開業後の成長カーブは、新規患者をどれだけ安定的に獲得し、再診につなげられるかで決まります。

立ち上がりの目安

  • 開業直後:1日あたり新規 数人〜10数人。内覧会・広告(→6.)の効果でスタートダッシュが変わります。
  • 軌道に乗った後:1日あたり新規2〜5人前後が継続できれば、再診の積み上がりで経営は安定方向に向かいます(診療科・立地で差)。
  • 成熟期:新規の比率は徐々に下がり、再診中心の安定経営へ。新規が「ゼロに近い」状態が続くなら、認知・評判・アクセスのどこかに課題があるサインです。

新規患者を「定着」させる仕組み

  • 初診の体験設計:待ち時間・説明の分かりやすさ・受付の印象。初診の満足度が再診率と口コミ(→6.)を左右します。
  • 次回予約・定期管理:生活習慣病など継続管理が必要な患者には、次回受診の目安を必ず伝えます。
  • 離脱の把握:「来なくなった患者」を把握できる仕組み(予約・リコール)があると、再診率の改善に取り組めます。
4. 保険点数

保険点数(診療報酬)を上げる方法

ここで言う「点数を上げる」とは、不正な水増し(架空・付増し請求)ではなく、本来算定できる点数を適正に算定し、算定漏れをなくす取り組みです。適正な算定こそが最大かつ正攻法の収益改善です。

① 施設基準を届け出る

診療体制を整えて地方厚生局へ届け出ることで算定できる加算があります。自院の体制に合うものを取りこぼさないことが重要です。

  • 機能強化加算、時間外対応加算、外来感染対策向上加算 など
  • 医療DX推進体制整備加算(オンライン資格確認・電子処方箋等の体制)
  • 生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料 等の管理料の体制整備

② 算定漏れをなくす

  • 各種管理料・指導料の算定徹底:要件(カルテ記載・指導内容)を満たしているのに算定していない、というケースは少なくありません。
  • カルテ記載の精度向上:算定の根拠となる記載が不十分だと、本来取れる点数を取りこぼし、査定・返戻の原因にもなります。
  • 返戻・査定の分析:返戻されたレセプトの理由を分析し、請求精度を上げます。

③ 診療内容の幅を広げる

  • 必要な検査・処置を院内で完結できる体制(検査機器・人員)を整える。
  • 在宅医療・予防接種・健診など、算定できる領域を体制に応じて拡充する。
不適切な請求(過剰算定・付増し)は厳禁です。個別指導・監査の対象となり、返還・指定取消のリスクがあります。点数改善は必ず「適正・適法」の範囲で。施設基準の届出と算定要件の確認は、医業に強い税理士・社労士と連携して進めるのが安全です。
5. 自由診療

自由診療収入への取組

保険診療は単価が公定価格で頭打ちになりがちです。自由診療(自費)は、診療単価と経営の安定性を引き上げる柱になります。ただし、保険診療との線引きと患者説明を丁寧に行うことが大前提です。

取り入れやすい自由診療の例

  • 予防・健康増進:各種ワクチン(インフルエンザ・帯状疱疹・肺炎球菌等)、自費健診、人間ドック、検診の追加項目。
  • 美容・QOL系:皮膚科のレーザー・ピーリング、AGA・薄毛治療、医療脱毛、プラセンタ・ビタミン注射、ED・自費の禁煙治療など。
  • 診断書・文書料:各種診断書・証明書・予防接種証明など、文書作成の料金体系を整える。
  • 物販:医療機関専売の化粧品・サプリメント・サポーター等。

始めるときの注意点

  • 料金は院内に明示し、事前同意を取る:自由診療は料金を分かりやすく掲示し、患者さまの同意のうえで実施します。
  • 混合診療の禁止に注意:同一の傷病で保険診療と自由診療を併用することは原則禁止です。線引きを明確にします。
  • 消費税の取扱い:自由診療は原則として課税売上です。保険診療(非課税)との区分経理が必要になり、課税売上が増えると消費税の納税義務にも影響します。導入時に税理士へご相談ください。
自由診療は「導入すれば儲かる」ものではありません。機器投資・人員・広告のコストに見合う需要が地域にあるかの見極めが先です。安易な高額機器の導入は、減価償却とリース料が固定費としてのしかかります。
6. 広告

効果的な広告方法

医療機関の広告には医療広告ガイドラインという規制があります。「治る」「絶対安全」などの誇大・断定表現や、ビフォーアフター写真の不適切な使用は禁止です。ルールの範囲で、地域の患者さまに「正しく見つけてもらう」ことが広告の目的です。

費用対効果の高い順に

  • Googleビジネスプロフィール(MEO):「地域名+診療科」で地図検索したときに上位表示される対策。無料で始められ、効果が高い。診療時間・写真・口コミ返信を整えるだけで差が出ます。
  • ホームページ(自院サイト)+SEO:診療内容・院長の考え・アクセスを分かりやすく。スマホ対応と表示速度、症状・疾患ごとの解説ページが集患に効きます。
  • 口コミ・評判:最大の広告は患者満足です。良い体験が口コミとなり、新規患者(→3.)を呼びます。低評価には誠実に対応。
  • 地域連携・紹介:近隣の医療機関・調剤薬局・介護施設との関係づくり。紹介・逆紹介は安定した患者基盤になります。
  • 看板・サイン:視認性の高い外看板・電柱広告。通行・通勤動線上の「ここにある」という認知。
  • 内覧会(開業時):開業前後の地域へのお披露目。スタートダッシュに有効。

避けたいこと

  • ガイドライン違反:体験談・誇大表現・他院との比較優良表示は規制対象。広告代理店任せにせず内容を確認します。
  • 媒体の出しっぱなし:「どの経路で来院したか」を受付で簡単に把握し、効果の薄い広告は見直します。
7. 採用

優秀なスタッフの集め方

クリニックの満足度は、院長の診療と同じくらい「受付・看護師・スタッフ」で決まります。採用は経営の最重要テーマの一つです。

  • 求める人物像を言語化する:スキル(資格・経験)だけでなく、自院が大切にする姿勢(丁寧さ・協調性・学ぶ意欲)を明文化し、求人と面接の軸にします。
  • 複数の採用チャネルを併用する:医療系の求人媒体、ハローワーク、自院ホームページの採用ページ、人材紹介、SNS。チャネルごとに集まる層が違います。
  • リファラル(紹介)採用:既存スタッフ・取引先・知人からの紹介は、ミスマッチが少なく定着しやすい有力なルートです。
  • 求人票で「働く環境」を具体的に伝える:給与・賞与・休日・残業の実態・教育体制・院の雰囲気。良い人ほど条件と環境をよく見ています。
  • 面接で相互理解を:こちらが選ぶだけでなく、相手にも選んでもらう場と考え、診療方針や1日の流れを率直に共有します。
  • 試用期間を活用する:採用後の早期に相性を確認できる仕組みを就業規則に整えておきます。
ポイント:「給与を高くすれば良い人が来る」は半分正解で半分間違いです。給与は応募の入口に効きますが、定着(→8.)を決めるのは職場の人間関係と働きやすさです。採用と定着はセットで設計します。
8. 定着

スタッフの定着率を高める方法

採用には1人あたり数十万円の採用コストと教育期間がかかります。離職を減らすことは、採用を増やすより効率的な経営改善です。

  • 適正な労働時間・残業管理:受付終了時刻の前倒し(→1.)、休憩の確保。サービス残業の常態化は離職の最大要因です。
  • 評価と昇給のルールを明確に:「がんばっても変わらない」が一番のやる気の敵。評価基準と昇給の道筋(→10.)を見える化します。
  • 役割分担と権限委譲:受付リーダー・主任など、役割と責任を与えると当事者意識が育ちます。
  • 教育・成長機会:外部研修・勉強会の費用補助、資格取得支援。「ここにいると成長できる」が定着を生みます。
  • コミュニケーションの場:定期的な面談・短い朝礼・ミーティングで、不満が大きくなる前に拾います。院長が一方的に話す場にしないこと。
  • 働き方の柔軟性:子育て・介護に配慮したシフト、時短勤務。ライフイベントで辞めさせない仕組みが、結果的に熟練スタッフを残します。
  • 福利厚生:社会保険の適正加入、有給の取得しやすさ、退職金制度(→11.)。安心して長く働ける土台になります。
9. 問題スタッフ対応

問題のあるスタッフに退職してもらう方法

勤務態度や能力に問題のあるスタッフへの対応は、院長が最も悩むテーマの一つです。日本の法律では一方的な解雇が厳しく制限されているため、「いきなり辞めさせる」のではなく、記録 → 指導 → 退職勧奨 → (最後の手段としての)解雇という順序を踏むことが、トラブルを避ける最大のコツです。

STEP1 ── 「辞めてもらう」前に必ずやること

  • 問題行動を事実として記録する:日時・具体的な内容・周囲への影響・指導した経緯をメモに残します。感情や人格ではなく「事実」を積み上げることが、後のすべての対応の土台になります。
  • 就業規則・服務規律を整備しておく:遅刻・無断欠勤・業務命令違反・ハラスメント等について、何が問題で、どう対応するかを文書で定めておきます(規定がないと懲戒も解雇も難しくなります)。
  • 改善の機会と期限を与える:面談で問題点を具体的に伝え、改善目標と期限を示します。多くのケースは、適切な指導・教育で改善し、退職まで至りません。
  • 配置転換・業務調整を試す:担当業務との相性が原因のこともあります。役割を変えて適性を探る余地がないか検討します。

STEP2 ── 改善しない場合の「退職勧奨」

  • 退職勧奨は「合意退職」を促すもの:あくまで本人の納得のうえで辞めてもらう話し合いです。強要・脅迫・大人数で詰める・執拗な繰り返しは違法(退職強要・パワハラ)になります。
  • 退職条件を整理して提示する:退職日、有給休暇の消化、必要に応じた解決金や再就職への配慮など、双方が納得できる着地点を用意します。
  • 面談は冷静に・記録を残す:感情的にならず、複数回に分け、いつ何を話したかを記録します。
  • 合意できたら「退職合意書」を取り交わす:退職日・条件・清算事項を書面化し、後日の「言った言わない」を防ぎます。

STEP3 ── 解雇は「最後の手段」

  • 解雇には厳しい要件がある:客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く解雇は無効です(労働契約法16条)。安易な解雇は、地位確認・未払賃金の支払いを求める紛争・訴訟に発展します。
  • 手続きを守る:原則として30日前の解雇予告、または解雇予告手当(平均賃金30日分以上)が必要です。
  • 懲戒解雇は特に慎重に:就業規則の懲戒事由に該当し、弁明の機会を与える等の手続きを踏むことが前提。試用期間中でも自由に解雇できるわけではありません。
「追い出し」は絶対にしないでください。仕事を取り上げる・無視する・別室に隔離する・退職するまで嫌がらせをする──こうした行為はパワハラ・不法行為として損害賠償の対象となり、労働基準監督署・あっせん・訴訟のリスクを招きます。SNS時代は評判の悪化が採用にも直結します。正しい手順こそが、結局いちばん早く・安全な解決です。
専門家と連携を:解雇・退職勧奨・ハラスメント対応は労務リスクが高い分野です。就業規則の整備(→8.の土台)から個別案件の対応まで、当事務所は提携の社会保険労務士・弁護士と連携してサポートします。動く前にまずご相談ください。
10. 給与・賞与

給与の決め方・賞与の相場

人件費は医業収益の20〜30%(院長報酬を除く)を占める最大の固定費です。「払いすぎ」も「安すぎ」も経営を傷めます。地域相場と自院の収益力のバランスで決めます。

給与の決め方の手順

  • ① 地域・職種の相場を調べる:同じ「医療事務」「看護師」でも地域差が大きい。近隣の求人や統計で水準を把握します。
  • ② 自院の支払能力から逆算する:想定する人件費率(目安20〜30%)の範囲で、必要人員の総人件費が収まるかを確認します。
  • ③ 基本給+手当+賞与の構成を設計する:基本給を上げすぎると賞与・退職金・残業単価・社会保険料すべてに波及します。資格手当・役職手当・皆勤手当などを組み合わせ、メリハリをつけます。
  • ④ 昇給ルールを決める:評価(→8.)と連動した昇給の道筋を示します。

賞与の相場

クリニックの賞与は年2回(夏・冬)、合計で基本給の2〜4ヶ月分が一つの目安です。中小企業・地域・業績によって幅があり、開業初期は抑えめ、軌道に乗ってから手厚くするのが無理のない設計です。

  • 業績連動の発想を持つ:固定の「○ヶ月分」だけでなく、業績に応じた決算賞与を組み合わせると、繁忙期の頑張りに報いつつ固定費の硬直化を防げます。
  • 支給基準を就業規則・賃金規程に明記:「いつ・誰に・どう決まるか」を文書化し、トラブルを防ぎます。
節税と人材確保を両立:院長(個人事業)の場合、専従者給与・スタッフ給与・決算賞与は適正額であれば必要経費です。医療法人化後は役員報酬の設計が税負担を大きく左右します。給与・賞与の設計は法人化や所得設計とセットで考えると効果的です。
11. 退職金

退職金対策

退職金は「スタッフの定着・採用力の向上」と「院長自身の引退後の備え」の両面があります。制度を使って、計画的・税効率的に積み立てるのが基本です。

スタッフの退職金

  • 中小企業退職金共済(中退共):国の制度。掛金は全額損金(必要経費)。掛金の一部に国の助成があり、小規模クリニックの定番です。
  • 特定退職金共済(特退共):商工会議所等が運営。中退共と併用も可能。
  • 生命保険の活用:養老保険等を使い、退職金原資を計画的に準備する方法。設計には専門的な検討が必要です。
  • 退職金規程の整備:勤続年数・基本給・係数などの支給基準を就業規則(退職金規程)で明確にし、将来の支払いを見込んでおきます。

院長(経営者)自身の退職金・引退準備

  • 小規模企業共済:個人事業の院長の退職金制度。掛金は全額所得控除で、節税しながら引退資金を積み立てられます。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が所得控除。老後資金の準備に。
  • 医療法人化との関係:法人化すると院長は役員退職金を受け取れる設計が可能になり、退職所得控除など税制上のメリットが大きい。生命保険を活用した退職金準備も検討できます。
次のステップ

把握した数字を「読む」── 経営分析へ

ここまでが医院経営のポイントです。診療体制・患者数・収益・人材を整えたら、次はその結果を数字で読み解く番です。

経営分析とは、感覚ではなく数字で自院の状態を把握し、次の打ち手を決めることです。収入を「患者数×単価×日数」に分解し、人件費率や損益分岐点などの指標を月次で追うことで、問題に早く気づき、具体的に動けるようになります。

具体的な分析の手順(収入の分解・経営指標の見方・推移と比較・月次決算と資金繰り)は、別ページにまとめました。

あわせて読む:「クリニックの経営分析の方法」/開業時の資金計画はトップの「開業前の先生へ」、法人化による税負担の変化は医療法人化のページで解説しています。

自院の数字を、いちど一緒に「読んで」みませんか

「忙しいのに、なぜか手元にお金が残らない」「人件費が重い気がするが適正なのか分からない」── そう感じたら、それは経営分析の出番です。湯沢会計事務所は医業経営支援30年超。月次決算・経営分析レポートの提供から、診療体制・人件費・自由診療・施設基準の見直し、スタッフの給与・退職金制度の設計、医療法人化の判断まで、クリニック経営を数字の面から一貫してサポートします。初回相談は無料です。

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FAQ

よくあるご質問

Q. クリニックの人件費率の目安は?

医業収益の20〜30%(院長報酬を除く)が一つの目安です。継続的に超える場合は、人員配置・シフト・生産性の見直しのサインです。

Q. スタッフの賞与の相場は?

年2回・合計で基本給の2〜4ヶ月分が一つの目安です(地域・業績・規模で変動します)。

Q. 保険点数(診療報酬)を上げるには?

不正な水増しではなく、施設基準の届出と算定漏れの防止という「適正な算定」が正攻法です。返戻・査定の分析も有効です。